2023年10月1日より景品表示法に基づき、ステルスマーケティングが規制対象となりました。
この規制によって、今後はより一層「ユーザーから見て、広告であることをわかりやすくする」必要性が求められます。
一方でSNSの爆発的な普及によってユーザーの情報収集方法が多様化しており、広告への接触頻度は今後ますます増加する見込みです。
特に「Z世代」は今後の消費市場において重要な役割を果たすと見込まれており、その広告へのアプローチ方法について考える必要があります。
株式会社Libalent(読み方:リバレント)は今回、次世代の消費の中心となるZ世代の購買行動や広告の影響範囲を深堀りするため、「Z世代のSNS利用に関する調査」を実施しました。調査は日本全国のZ世代を対象にインタビュー形式で行い、回答を設問別でまとめて集計しております。
本稿ではリバレントが実施した調査をふまえ、「Z世代がどれほどSNSを駆使しているのか」その興味深いデータと傾向に焦点を当てながら「購買行動」においての効果的なアプローチ方法について考察します。
- 目 次 -
Z世代のメディア利用率の比較
「Z世代」とは、一般的に1990年代の半ばから2010年代の初頭に生まれた世代のことを指します。
彼らは幼少期からスマートフォンやSNSに親しんでおり、情報収集やコミュニケーション、娯楽など、多くの側面でデジタルコンテンツを活用しているのが特徴です。
今回の調査ではZ世代:18歳~29歳 と定義し、ユーザーインタビュー形式で実施しました。
まずは、Z世代に向けて利用するSNS媒体についての質問を行い、以下のように回答を得ました。
上記回答を見るとFacebook以外のSNSでは利用率が拮抗しており、その中でもYouTubeは一番利用ユーザーが多い結果となりました。
ちなみに、日本民間放送連盟(民放連)研究所が2023年7月に発表した「放送のネット配信へのニーズに関する調査」(※1)によると、性別、年代別でみたYouTubeとテレビの利用率は
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▼YouTube利用率
《男性》15歳~19歳:93.6%
20歳~29歳:87.7%《女性》15歳~19歳:95.2%
20歳~29歳:84.9%▼テレビ利用率
《男性》15歳~19歳:78.6%
20歳~29歳:69.7%《女性》15歳~19歳:85.7%
20歳~29歳:81.7%※1 出典:木村 幹夫. “「Z世代はテレビよりYouTube!なのか?「データが語る放送のはなし」㉘”. 民放online. 2023-07-05.
https://minpo.online/article/youtube-1.html.
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上記のようになっており、男女ともにYouTubeの利用率がテレビを上回っています。
「若者のテレビ離れ」という単語をよく聞くようになりましたが、単にテレビを離れたのではなく、コンテンツが充実したことによって選択肢が増え、自分に合わせたスタイルで視聴しやすくなったと言えるでしょう。
SNSだけで情報収集、コミュニケーション、娯楽までを楽しむZ世代
次に、SNSを駆使するZ世代たちがどのような目的で利用しているのか、回答を以下にまとめています。
※一番利用の多かったYouTubeに関しては利用目的が他のSNSと異なっていた為、次項目にて考察していきます。
利用目的としては「興味関心ごとの情報収集」が最も高い割合で62.5%となっており、
「トレンドをキャッチアップ」という回答も37.5%で二番目に続いていることから、情報収集としての目的が強いといえます。
また同じく37.5%で「知人や友人の近況チェック」もZ世代がSNSを利用する大きな理由の一つです。
したがってZ世代はX(旧:Twitter)、Instagarm、facebook、Tik Tokに対して「日常でのコミュニケーション」と「情報収集」を求めてSNSを積極的に利用していることが分かります。
最も利用率が高かったYouTubeを利用する目的についても質問を行ったところ、「お笑いなどバラエティー番組の視聴」という回答が62.5%で最も多く、次いで「好きなタレントのch視聴」が50.0%と高くなっています。
この結果によって、Z世代はお笑いコンテンツを好んで積極的に視聴する傾向にあること、自身の趣向にあった一定のお気に入りchを視聴するケースが多いことがうかがえます。
2時間未満はゼロ!1日4時間以上をSNSに費やす
情報収集をはじめ、娯楽までをも網羅するSNSを、「1日にどれくらいの時間利用するのか」に対する回答が以下です。
この回答から、Z世代がSNSに多くの時間を費やしていることが伺えます。
中でも「4時間以上」の割合が高いことは、SNSがすでに彼らの日常生活の一部であることを示しています。
タレントによる商品紹介は「広告」か否か
近年ではSNSのユーザーが増え、広告プラットフォームとして施策を打ち出す企業も多くなっています。
したがってSNSに多く接しているZ世代には、比例して多くの広告が届いていると言えます。
そこで「SNS利用時の広告についてどう思いますか」という質問を行ったところ、85.7%が「不快と感じる」と回答しました。
「不快だと感じる」と答えた人にユーザーインタビューを行ったところ、
「課金して(広告のない)プレミア版を購入するくらい、広告を嫌悪している」(21歳・学生)
「同じようなのが何度も出てくるので、毎度スキップしている」(22歳・社会人)
と、広告を排除する動きも見受けられます。
一方で、「商品購買のきっかけはなにか」という問いでは以下のような回答となりました。
広告には嫌悪感を抱いているにもかかわらず、商品の購買へのきっかけにおいてはタレントによる商品紹介が大きな影響を与えていることが明らかになりました。
「流れてきた広告がきっかけでモノを買ったことはないけど、タレントが動画内で紹介しているものは買ったことがある」(24歳・社会人)
「企業タイアップなどを見て検討する」(22歳)
ユーザーの声からもわかるように、Z世代は自身の好きなタレントに共感し、そのタレントが紹介する商品に関心を持つ傾向があることがわかります。
また、彼らにとってタイアップやタレントを使ったプロモーションはプラットフォームへのなじみやすさや本人からの発信という観点から「広告」として嫌悪されにくい傾向にあると言えます。
まとめ
Z世代は日常の中でSNSを中心に様々なコンテンツを活用しています。
その中でもエンターテイメント性を持ったバラエティー番組やお笑い芸人によるコンテンツは多くのZ世代に視聴されており、受け入れられています。
また、わかりやすく広告として表示されるプロモーションは嫌悪されながら、タレントによる商品紹介はZ世代に受け入れられやすく、商品購買に大きな影響を及ぼすことがわかりました。
したがってZ世代をターゲットにした商品の広告戦略においては、お笑いのチャンネルや番組などエンターテインメント要素を取り入れながら、タレントとの提携によってプロモーションを展開することが購買行動の促進に有益である可能性が高いと言えます。